今回は皆さんが良く利用される【杖】についての雑学を紹介いたします。

皆さんは、杖の使い方を教わったことがあるでしょうか?仕事柄ですが、街を歩いていると

人の歩き方が気になります。特に杖を持たれている方などを見かけると、ついつい見入ってしまいます。そこで思うのは、「杖の高さだけでも体格に合わせれば、もっと楽に歩けるのに」ということです。それは、杖の使用には多くのチェック項目があるからです。

その中でも今回は、杖の高さの簡単な考え方をお伝えさせていただきます。

TVの影響でしょうか、1本の杖を持つ側を悪い脚側に持って、とってもギクシャクした歩き方をしていることを見かけます。必ずではありませんが、基本的に杖は悪い脚と反対側に持ちます。地面につく杖先の位置は、悪い側の足先から前に10cm、外側に10cmの位置になります。杖の高さは、杖を持ち肘が30度くらい曲がる位置、または肘を伸ばした時に手首が持ち手になる位置、そして大腿骨の大転子の位置と言われています。

なぜこんな基準があるかというと、杖先の位置によって基底面を広げバランスをとりやすくすることと悪い側の脚と反対につくことにより、その脚にかかる分の荷重を杖で受けることをしています。実際の場面では、説明した部分よりも更にバランスをとったり、より荷重を補ったりします。

 平地で高さ調整型の杖を利用していることが前提として話をさせていただきます。基本的な杖の高さにする場合では、やや外側に傾く方が多いです。高さ調整では、バランスを補う要素の大半の場合は、杖の高さを少し高くすると歩きやすくなることが多くあります。しかし、長くし過ぎると杖を地面に引っ掛けやすくなります。逆を言えば、荷重の要素が増える場合には、杖を少し短くします。そうすると杖に体重を載せ易くなり、歩けることが多いです。それでも、より杖に荷重をかけたい場合は、杖の型をかえることを検討したほうがよいこともあります。お使いの杖、一度高さの再検討してみてはいかがでしょうか。

リハビリテーション室 理学療法士  門脇 健治